川崎公害病患者と家族の会―増え続けるぜん息患者と新たな救済制度へ―

「制度廃止」は、喘息死亡を増加させる愚行!

「制度廃止」は、喘息死亡を増加させる愚行!

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増え続ける喘息患者

 福田市長は、川崎市行財政改革素案で、「成人ぜん息患者医療費助成条例」と「小児ぜん息患者医療費支給条例」の廃止を提案しました。
 ぜん息で苦しむ患者とは直接会って「苦しみ」や「実態」を理解しようとしていません。地域医療審議会が「廃止」の答申を行ったのが昨年の10月です。 答申を受けた後も、新規認定者は増え続けています。

予防には長期管理が必要

 厚生労働省は平成17(2005)年からぜん息患者の死亡が深刻な状況だと、「ぜん息死ゼロ作戦」を実施しています。厚生労働省喘息死ゼロ作戦評価委員会によると「死亡に至る原因は、重篤な発作による窒息死である」、「成人ぜん息死では、発作開始後一時間以内13.6%、三時間以内とあわせると29.7%となり、急死が多い」、「喘息死の予防には、炎症を鎮静し維持するため」「長期管理の治療の実行が有効」で「吸入ステロイド薬をベースに長期管理を実行することにより、気道の炎症は抑えられ、良好な喘息コントロールがもたらされる」(日本内科学会雑誌第98巻 第9号・平成21年9月10日より)と指摘しています。

制度の効果は大きい!

 「成人ぜん息患者医療費助成条例」は、喘息患者が長期管理の治療が受けられる有効で、効果の大きな制度です。川崎市が、健康福祉委員会に示した「気管支ぜん息が死因の死亡者数の推移」の表によって実証されています。平成19(2007)年川崎市の死亡者数は21人、令和2(2020)年には8人と大幅に減少しています。平成19(2007)年は川崎市が「条例」を実施した年です。「長期管理の治療」が保障され、その結果、喘息死が減少するという大きな成果を生んでいます。本制度を廃止することは、ぜん息患者を死に追いやる愚行です。

【うらページ】

「総合的判断」で廃止というけれど?

「制度の評価」はしたことがない?

 川崎市は「成人ぜん息患者医療費助成条例」と「小児ぜん息患者医療費支給条例」の廃止に際して両制度の「評価を一度もしていない」と2月8日の健康福祉委員会の質疑のなかで議員の質問に答えています。
 「成人ぜん息患者医療費助成条例」は2007年1月から、今日まで16年間という長い間、実施しているものです。  
 制度が「市民の命と健康を守る砦になっているのか」、「効果がないのか」検証もせずに廃止をしてしまうのは、乱暴な議論と言わざるを得ません。

片手落ちの検討でも廃止強行

 川崎市は「制度廃止については、総合的な判断をした」と議会で答弁しました。「総合的判断」をしたと云っても一六年間制度の評価せずに、どう「総合的な判断」をしたのでしょうか。川崎市は、国(厚生労働省)の「アレルギー疾患対策法」を推進すると云っています。が「喘息死ゼロ作戦」については何ら検討されていません。
 「喘息死ゼロ作戦」では「日本アレルギー学会およびアレルギー協会の各支部の協力のもと、ぜん息診療におけるオピニオンリーダーの医師から構成される「喘息死ゼロ作戦推進員会」が設置され、作戦が効果的に推進されて」います。また、「喘息予防・管理ガイドライン」が作成され、定期的に内容が更新をされています。

市民に犠牲強いる福田市長!

 川崎市は「総合的判断」といいますが、「制度」の評価もせず、また、厚生労働省が実施をしている「喘息死ゼロ作戦」の内容も検討していません。ましてや制度を活用している患者の率直な意見も聞かずに「総合的判断」して「廃止」の結論を導き出すことを市民が納得することはありません。
 福田市長の「市民の苦しみは見ざる」、「市民の切実な声は聞かざる」「市民には真実を言わざる」の市民をないがしろにする姿勢がにじみ出ています。「最幸のまち川崎」の本質が現れています。