職権による「調停」を真摯に受け止めて!
私たちは自動車排出ガスによってぜん息を発症した被害者に対し、国と自動車メーカーが社会的責任で医療費救済をおこなう制度を求めて、「責任裁定」を申立てました。昨年の12月19日、結審しました。委員長は職権による「調停」を非公開で行うことを結審の当日に、双方に言い渡し
ました。私たちは責任裁定委員長が示した「調停」の中で、ぜん息患者の医療費救済制度が実現される方向で話し合いが進むことを期待しています。
日産をはじめとした自動車メーカー各社が「調停」という話し合いの場を真摯に受け止めていただき、ぜん息患者の切実な願いである医療費救
済制度を実現する、前向きな回答を聞かせてほしいと願っています。
ぜん息被害者は、「ぜん息」治療のために毎月、毎月高額な医療費を負担し、その上に、突然に襲ってくる発作の不安と向き合って生活して
います。医療費の救済制度は、その負担と不安を和らげるものです。
必要な治療が受けらせる制度を!
私たちは自動車メーカーに対する要請と併せて、国(環境省)に対しても制度の創設を求めて、話し合いをおこなっています。
国がぜん息患者の医療費救済制度の法律を作り、自動車メーカーに厳しい態度で、制度運営のための応分の資金を拠出するよう申し入れています。現在、環境省はぜん息患者に対して「予防事業」で「呼吸リハビリ」「健康相談・パンフレット」を作成し、相談体制と啓蒙活動をおこなっています。しかし、必要なことは十分な治療を受けることができる仕組みを作ることです。
環境省は被害者救済が原点!
環境省は、四日市の大気汚染公害裁判で企業が敗訴し、その民事責任が厳しく断罪されたのを契機に被害者救済を目的として1971年に創設されました。ですから被害者の全面的な救済の為に奔走しなければならない立場の機関です。設立時の精神をもう一度思い起こし、自動車メーカーに対し医療費救済制度の創設を働きかけてほしいと思います。深刻な大気汚染を発生させた工場群は今でも毎年、被害者救済の為にその資金を拠出しています。
【うらページ】
「働く者の痛み」わからない、内田社長!
日産が純利益を大幅減少したことを理由に「世界で9000人を削減」することを発表し、ホンダとの経営合併を発表して1ヶ月余が過ぎようとしています。ホンダ側は、日産に対し「統合が日産の『救済』となるのは避けたい考えだ。統合協議の前提として日産に対し、リストラを断行して業績をV字回復させるよう求めて」(2024年12月23日 神奈川新聞より)います。内田社長は、オンライン記者会見で「厳しい状況を迎えているのは痛恨の極み」「世界13万人以上の従業員とその家族の生活を預かる身として、責任を痛感します」と発言しています。しかし、自らの責任については、役員手当の2分の1を返上するというもので経営トップ責任については何一つ発言をしていません。
内田社長が口にするのは9000人のリストラを断行するということだけです。
これでは前責任者のゴーン氏と同じように従業員の首を切って、自らは安泰という筋書きです。首を切られる従業員とその家族、また非正規で働く人たち、さらには日産の下請けでこれまで品物を納入していた中小業者の生活はどうなるのでしょうか。
両社のサプライチェーン企業は4万社超
1月22日,「湘南工場 生産縮小」という見出しがありました。
これまでに明らかになっていたのは北米での早期退職の募集が始まったということでした。リストラ・合理化の波は日本の工場にも波及することは間違いありません。
すでに湘南工場の生産縮小が明らかになっています。合理化は、これだけで済むのでしょうか?
ホンダと日産が交わした経営統合の基本合意書では「サプライチェーンの最適化」を進めることも明記されています。両社のサプライチェーン企業は合計4万社超あると言われ、重複する国内企業と部品メーカーは9000社超に及んでいます(帝国データバンク調べ)。いったい、どれだけの労働者と下請け企業が犠牲を強いられることになるのでしょうか。