川崎公害病患者と家族の会―増え続けるぜん息患者と新たな救済制度へ―

福田市長の「最幸のまちかわさき」の本音は

福田市長の「最幸のまちかわさき」の本音は

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市民の声は「聞かない」

 2月10日(金)から川崎市は、市民意見の募集(パブリックコメント)を開始しました。これに先がけて、私たちは川崎市に対して2回目の公開質問状を提出し、その回答が2月10日に届きました。回答内容はこれまでと同じで川崎地域医療審議会で議論が行われているもので、川崎市はその答申について物申す立場にはありませんというものでした。実質、川崎市が事務局となり、1回1回の審議会には川崎が整理し、議題を提案していることは議事録を見ればわかります。この間、福田市長はぜん息患者と直接会う機会も拒否してきました。結局、市民の意見に耳を傾けることは「しない」という福田市長の市政運営の姿です。

市民の実情は「見ない」

 被害者と直接会ってその苦しみを聞き、自らの痛みとして感じ行政に生かすのが市長の役割ではないでしょうか。
 新聞記事を見たという方が私どもの事務所に電話をくれ「川崎市は『健康都市宣言』も行い、『市民本位のまちづくり』を進めると云っているのに、患者と合わないのはひどすぎる」という怒りの内容でした。喘息は重篤な発作や症状が悪化すると死に至る病です。ですから日常的に継続して医師による治療管理が必要です。川崎市が実施している医療費助成制度は、重積発作を引き起こすことを食い止め、重症化を防ぐためにとても大切な制度です。福田市長は、市民の実情を理解しようとする姿勢が欠けています。

市民には「言わない」

 2月8日に行われた議会の健康福祉委員会において、「成人ぜん息患者医療費助成制度」や「小児ぜん息患者医療費支給制度」の効果について検討したのかとの質問に対し、川崎市も地域医療審議会もさらに同保健部会においても条例が果たしてきた役割や評価については検討をしていないという、杜撰な実態が明らかになりました。市民の命を守る大切な制度を廃止するにもかかわらず、その内容についてなにも検討していない、また、お金を削る施策については市民に何も告げずに、バッサリ切り捨てるのが福田流なのでしょうか。

【うらページ】

えっ!休日急患診療所も減らすの?

 福田市長は、川崎市行財政改革第3期プログラム素案(令和3(2021)年11月)で「社会経済状況の変化を踏まえた市民サービスの再構築」と称し、健康福祉局関連対象事業№1として①「高齢者外出支援乗車事業の見直し」では「フリーパス式の上限回数設定」「利用者負担の増額」②「成人ぜん息患者医療費助成制度の在り方の検討」川崎地域医療審議会答申で「小児ぜん息患者医療費助成制度」を含め廃止を、③「重度障害者医療費助成制度の見直し」では、「社会状況を踏まえた見直し内容の検討」、④「高齢者に対する市単独事業」の見直し、⑤「休日急患診療所の運営手法の見直し、移設等の検討」、⑥「歯科保健センター等診療事業のあり方」⑦「生涯現役対策事業の見直し、効率的、効果的な実施」⑧「障害者施設運営補助のあり方の検討」が掲げられています。

市民の命をどう守るの?

 福田市長が掲げる「行財政改革第3期プログラム」素案の内容について、健康福祉局に関連する課題をシリーズで考えていきたいと思います。
 今回は⑤「休日急患診療所の運営手法の見直し、移設等の検討」(53ページ)についてその内容を見てみます。取り組みの方向性には次のように記載されています。「休日急患診療所の運営に支障がないよう、施設の適切な保全対応を行いつつ、新型コロナウイルス感染症終息後の市民の受療行動や当該診療所における診療実績を踏まえながら、状況に応じて、設置個所数や診療体制の見直しなど適切な運営手法について、検討をおこなっていくとしています。設置個所数や診療体制の見直しですから、川崎市としては、休日緊急診療所を減らしていくということでしょうか。

新たな感染症が発生したらどうするの?

 具体的な取り組み内容を見ると「令和4(2022)年度~令和7(2025)年度までを期間として「資産マネージメント第3期実施方針を踏まえ、施設の集約、複合化等を含めた施設のあり方について、事業主体である川崎市医師会と調整を行いつつ、検討を実施。また、新型コロナウイルス感染症終息後の市民の受療行動や当該診療所における診療実施に応じて、設置個所数や診療体制の見直しについて川崎市医師会と調整すると云っています。
 新型コロナウイルスのような感染症が発生した時、休日急患診療所などが閉鎖されていたらば、急患の対応はどうなるのでしょうか。
 私たちは、新型コロナウイルスが爆発的に拡大した時に、大変苦しい経過をした教訓を福田市長はもう忘れてしまったのでしょうか。ましてや、新型コロナウイルスを克服したわけではありませんし、毎日、死亡者も発生しています。その様な時期に、休日急患診療所の運営見直しをするのは軽率ではないでしょうか。